Digital Stream
Panasonic AJ-HDX400のちょっとしたレポート
この記事は掲載後、二年半以上が経過しています。
一部の記述に現況と合致しない部分があります。ご承知の上、ご参考までに 2009/2
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あるプロダクションでPANASONICのHDカメラを導入しカメラマンとして一定期間使用する機会を得たのでインプレッション。



仕様
 HDX400はVaricamと同じ撮像部分を持つHDカメラで、1280×720の解像度をもつプログレッシブのIT型HD-CCDを3枚使っている。テープへの記録はDVCPRO HD EXフォーマットで従前からのDVCPRO HDとのフォーマット上の互換性はない。テープは同一で1/4inch。テープへの記録は1080iで行う。CCDが720Pなのでカメラ内部でトランスコードして1080iにする。一見無駄なトランスコードにも思えるが絵を見る限り不思議な雰囲気を醸し出している。つまりSony系のHD1080iの繊細さはないが、元がプログレッシブのせいか品位は高い。しかし細かいところが若干大まかな印象を受ける。無理してインターレースにする必要は無いと思うが放送用途としては致し方ないところか。またこのクラスでHD720Pを実現してしまうとVaricamの存在が薄くなるためだろう。
 

  カメラ部分の量子化は12bit、非線形。サンプリングは74MHz。映像S/N比は54db、中心解像度は700TV本とほぼCCDのスペック通り。映像の見た目もそんな感じ。VTR部はDVCPRO HD-LP (59.94i)、Y:Pr:Pbは4:2:2で量子化8bit、記録ビットレートは100Mbpsで圧縮率は1/6.7である。

音声記録は48K,16bitで4chの記録。本体の音声入力端子は、リアにXLR3pinで2chとカメラマイク(ステレオ)接続部分にXLR5pinで2ch分が用意されている。まあ通常のHDカメラとみればいいと思う。最近このカメラは激安価格でセールスされている。やはり撮像板が1280×720の弱みか放送関係者にはアピールしにくいのだろう。また小型カメラのHVX-200ではP2メモリーカード使用で記録時間は極少だがこのフォーマットで24Pプルダウン記録が出来る。このためレンズや扱いやすさを差し引いても価値が下がってしまったのは仕方がない。

実売価格差はレンズ込みで約6倍(周辺機材が大型化するため実際はもう少し差が広がるが)。目的にかなっていればこの差は十分吸収できるカメラだと思う。


消費電力
 消費電力は35WとSDカメラに比べるとやはり多い。リチウムバッテリーに助けられている感じか。重量はオペレーション時(レンズ、バッテリー付き)7.4Kgと軽い。また全体のバランスは良いがその分少し全長が長いように感じられ、運搬時にはよく後部が色々なところにぶつかる。これは私の取り扱いが悪いということもあるがショルダーベルトの取り付け位置も影響しているのかもしれない。


調整メニュー
 内部の調整メニューは豊富で、通常の現場で行う調整のほとんどは対応できる。最近普通になってきたが設定をSDカードに書き込み保存できるため、複数のカメラマンが使う場合好みの設定をSDカードから読み込める。またシネガンマを2種類内蔵しているため映画的なトーンにも対応できる。しかしあくまでもインターレースである。

 
蓄積型
ゲインアップ
 インターレースの呪縛から逃れる唯一の手段はこのカメラの特殊機能の一つ、蓄積型ゲインアップを使用したときだ。これはプログレッシブ撮像板の利点を生かし、撮像フレームレートをさげてその分を感度アップに使おうという機能であり通常の撮影時には使われる事は少ない。またボタン一つでこのモードに切り替わるがスイッチを切ればこの機能もリセットされる。具体的にはボタン操作で +6dB(30P)/+10dB(20P)/+12dB(15P)/+15dB(10P)/+20dB(6P)と切り替わる。残念ながら24Pの設定はない。

このモード時に完全なプログレッシブに切り替わっているようだがやはり記録はインターレースである。30Pでも動くものはすこしかくかくした感じ。それ以下では残像を引いてしまいパンすらできない。通常のゲインアップと違いカメラを動かさなければノイズはあまり無い。低照度時のみならずうまく使えばおもしろい効果が出るかもしれない。少し暗いが6P(+20db)では星が撮影できる。これに通常のゲインアップを組み合わせれば止まっている被写体はわずかな光でディティールは撮影できる。ただし通常のゲインアップとの組み合わせでは、それなりにノイズが乗ってくる。

 
ダイナミック
レンジ
 撮影した感じでは(かなり感覚的だが)、やはり高輝度部分の扱いが難しい。ダイナミックレンジは少し狭い感じで、特に85%-100%の間が狭い感じがする。これはHDになってからどのカメラでも感じることでもう少しここの部分の扱いがいいと撮影しやすいのだが。100%以内に収めるのは簡単だがビデオの場合暗く眠い絵になってしまうのはやはりまずい。HD撮影では神経を使うところである。

VTRメカ
 SDのDVCPROの感じによく似ている。メカは同じなのだと思う。テープも同一の大きさであるため違和感は無い。 ローディングやスタート時の音の大きさは好き嫌いが出るところだが動作も機敏で良いと思う。


編集環境

 カメラの価格帯からいってDVCPRO HD EXフォーマットをサポートしているAJ-HD1200Aと組み合わせるのが妥当なところ。このデッキはマルチフォーマットでオプションボードを取り付ければIEEE1394でHD信号がやりとりできる。対応する編集システムはCanopusのターンキー、AvidではXpress Pro HD以上のソフト、そしてApple Final Cut Pro 5というところ。当然動作環境が保証されているAppleが多い。ディスクはRaid構築が必須で遅いHDDはトラブルの原因となる。

 
現在から
今後
 業務上SDとHDが混在する現在に生まれてきたカメラだと思う。HDを求められはするがコスト的に見合わない仕事ではぎりぎりの選択肢か。しかしローコストという点ではHDVという対抗馬もある。

PanasonicはHDVアライアンスに参加していないためこれから厳しい環境が続く。クオリティでいえばHDX400はHDVなど問題の外だが、HDVで事足りる仕事もある。またプログレッシブ撮像板を持ちながらプログレッシブ撮影が出来ないところにこのカメラのジレンマがある。
撮影者としてはこのカメラの利点を最大限理解して撮影に望むことが肝心かもしれない。


  プロフィール コンタクト
 
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