趣味のBM-800改良  再追試
(P48時のノイズ低減)
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初回は(BM-800を試してみる)はこちら
前回までの経過(ツェナー換装)はこちら
 
ソースフォロワ出力

私はFETの理解に乏しいのであまり手を付けたくなかったんですけど、いちおう聴いてみるか、
ということでBM-800のソースフォロワ出力を試してみました。キホン、猿真似です。
ここまでバランス出力がリバースしているのをケーブルで処理してきたのですが、ソースフォロワにすると正しい位相でバランス出力されるようです。
 
ソースフォロワ改造にあたっては初回と同様、下記のサイトを参考にさせてもらいました。

ShinさんのPA工作室
Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造
http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12115618790.html
http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12162843012.html
Ayumi's Lab.
エレクトレット・コンデンサ・マイクBM-800の改良
http://ayumi.cava.jp/audio/BM-800/BM-800.html
ANALOG AGES JA6AQO
中華マイクBM-800の改造と活用
http://www6.plala.or.jp/tyata/index.htm?page=http://www6.plala.or.jp/tyata/tec/31.htm
http://www6.plala.or.jp/tyata/tec/pic33/BM-800.pdf
 
マイクの正しい位相とは、マイクの振動板が音圧によって押されたとき、信号がプラスの方向へ振れるのをもって正しい位相というのだそうです。(凹むので入力がメスという概念、で、出力がオスコネクターになる)

バランス伝送の場合、通常はキャノンコネクターのPin2が正相(HOT)でPin3が逆相(COLD)となります。ソースフォロワ化したBM-800は、この2番HOTの状態となるようです。
複数のBM-800を使用する場合はソースフォロワ改造されてるかいないかで位相が反転しますのでシールなどで確認できるようにしておくといいですね。
 

 
足を折り曲げ、抵抗を挿入
 
一度FETを基板からハズし、バラしたところで2SK596Bの刻印を確認。次にソースの足を折り曲げ、抵抗を足して配線。
ハンダ吸い取り器が安物なので、こういった作業は正直苦労する。
抵抗は宙に浮いているので後で防振が必要になるかもです。
購入しておいた2SK596Cに取り換えようかな思いましたが、そのままに。ツェナーは前回同様5.6V。

抵抗値はJA6AQOさんのドキュメントから10KΩとする予定でしたが、手持ちがなく金属皮膜の12KΩとしました。
Idss(D-S間電流)次第で抵抗値を決めるそうで、ホントはいいかげんじゃダメなんだよね。
FET型番末尾がA、B、Cとか分かれているのは、この違いなんだそうで。
でも、このFETを使用した場合のソースフォロワ回路では、あながち間違ってはいない抵抗値らしいのでこれでいきます。
 
ドキュメントには10Kの場合のひずみ率が掲載されているのですが、10-15Kで調整するように、となっているので、まあ許されるだろうというところです。
 
パターンカットできているのかよく判らず、基板に深い傷をつけてしまいました。

 
ドレイン側短絡
 
次にドレイン側の2.2Kをバイパス。ジャンパーでパターンを短絡します。
ソースフォロワではこの抵抗はいらないと皆さん書いてますので躊躇なく。
 
とりあえず音が出ているかどうかを確認したところ、感度低いな! っといっても最初のソース接地と比べての話。ソースフォロワはインイーダンス変換が主なので当然ですね。ある程度ローノイズでしっかり増幅できる卓がないと厳しいかもしれません。
 

コンコンデンサ挿入
ShinさんとAyumiさんの記事を参考に、ECMカプセル-ゲート間に470pFを追加。
下段はAyumiさんの記事からの測定方法に関する部分の引用です。最終的な回路図にも470pFのコンデンサが挿入されています
次に,カプセルの出力を受けるFET Q1の接続方法を変えてみます.このFET 2SK596は,G-S間に100MΩ 程度の高抵抗が入っています.ソースフォロワにした時に適切なバイアスがかかるよう,入力信号は470pFのコンデンサを経由して加えています.
 
そもそもマイクカプセルからの出力はゲートに直結でした。このカップリングコンデンサの役割はよく理解していませんが、回路設計の専門家お二方が言ってますので何かいいことがあるんでしょう。それともECMのソースフォロワ化ではこれが常識?
まあ、悪いわけではないようなので、私的には、おまじない、ってことで。
さて、この段階で出音確認です。
 

 
ノイズレベルの確認
 
FFT波形は上が5.6Vツェナー、下がソースフォロワ後。
感度が下がった分、FFT波形も下がりました。ノイズを聴き比べてみましょう。
まず前回までのリファレンス。ソース接地で5.6Vツェナー
 5.6V 単独
次にソースフォロワ  (Ayumiさんのデータによると感度はおよそ12dB低下します)
 ソースフォロワ改造後
ソースフォロワ後の感度とFFT波形が近いと思われるECM-670のノイズと比べます。
 SONY ECM-670
 
ソースフォロワ改造後は低域のノイズが引っ込み高域のノイズだけになりました。感度だけでなく低域の周波数特性が変わったのでしょうか、ノイズに関わるエネルギーの分布が以前とは異なるような気がします。また自分の声を聴いてみると歪感も少なく落ち着いた音となった感じです。ノイズもECM-670よりほんの少し高いものの、似たようなレベルに落ち着きました。今までで一番良い結果かもしれません。しかし、BM-800のじゃじゃ馬的魅力は少々薄れてしまいました。
逆にいうと感度低下分、ノイズも下がって当然なのかもしれません。
JA6AQOさんは、このFETにはゲートリーク抵抗が内蔵されており、そのためソースフォロワ時はブートストラップ回路となりS/Nの点では若干不利なのではないか、と書かれています。
そうなんだ、と、回路図を眺めては見たりするのですが、私はいまいち理解できておりません。
 SANYOのデータシートより(テスト回路)
 
聴感でノイズレベルは6dB(2分の1)ほど下がったような気がします。感度低下分からするともっと下がっていいんですが、ブートストラップが招くS/Nの悪さが影響しているのかもしれません。

ま、私の素人技もあわさってですから、こんなもんでしょう。
 

電圧
 
FETにの足にかかる電圧は以下の通り。私にはこれが良い結果なのかはわかりません。
また付属のケーブルでプラグインパワーのレコーダーTASCAM DR-07につなげてみると、なぜか音は出ますね。
でも感度をHigh、もしくはMidでボリューム最大に設定せざるを得ず、マイクアンプのノイズで不利になります。当然ですね。電圧は低いのでツェナーは動作していないハズです。
測定箇所 P48時の電圧(5.6Vツェナーにて) プラグインパワー(開放電圧 2.367V時)
基板入力 39.8V 2.191V
5.6Vツェナー出口 5.59V 1.518V
ソース 2.67V(JA6AQOさんは3V-4V推奨) 0.86V
ドレイン 5.01V(2.2KΩバイパス前は4.53V) 0.958V
最初に書いたようにゲインはあまりとれないため、オンマイクのほうがいいでしょうね。
ソースフォロワにした分、当然、耐入力は上がっているはずです。
この時点でP48専用マイクとしてしまうか。 ん、 じゃ、ツェナーはいらないことになるね。
いままでいったい何をやっていたんだ。  ということになるのでそのまま使うことにしました。 
トホホ。。。。
 
あと、残る対策としては出力段のカップリングコンデンサの交換です。信号経路に直列されるコンデンサは音に対する影響が大きいことは認識しています。WIMAのFKP2(1uF)は用意してあるので、良い固定方法が見つかったら交換することにしています。
 

 
用途
 
比較的音の大きい楽器や歌声のオンマイクなどはソースフォロワが良いかもしれません。というか組み込み用途などの安価なマイク以外は、通常初段はソースフォロワを使うらしいです。ゲインはカプセル出力と2段目の設計いかんということでしょう。
そう考えるとBM-800はソース接地のプラグインパワーでナンボのマイクかもしれません。
ともあれP48では大入力時の歪は改善されているハズなので、マイクゲインとあわせもって当然オンで、いうことでしょう。
逆にナレーションなどはこのゲインでは厳しそうですね。声の震えまでとらえる繊細な感じはありません。
声の魅力というものを表現するには基本的にマイクカプセルが小さい感じがしますね。
 

 
おまけに、駄耳で聴いた感度(他のマイクとの比較)と総括
 
位相の確認もあって、試しに手元にある中で最も利得の低いダイナミックマイク、シュアーのSM-63L(テレビでよく見かけるインタビューマイクです)とECM-670、MKH-416TU3を、チャンネル別にENGミキサーに繋いで音声と感度を確認してみました。

SM-63Lはカメラに映りこむことを意識した流麗なフォルムを持ったダイナミックマイクです。近接した音声収録用のため200Hz付近から穏やかにローカットされています。したがって感度的には一番不利ですが、実使用時には歯切れのよいスッキリした音声が録れることからTVクルーに長らく愛用されています。私の使用するENGミキサーはこれ以下の感度では実用上苦しいので、ここから倍(6dB)ほど余裕があったら「ツカえる」、さらに倍(12dB)ほど余裕があったら「楽にツカえる」という判断になります。

聴感とメーター及びダイヤル位置で判断すると、上記の改良を施したソースフォロワの状態でP48のBM-800はSM-63Lより10~12dBほどゲインが高いでしょうか。感度的にはECM-670と同等に聞こえました。このゲインならオンマイクのセッティングにすれば困ることはありません。音質は落ち着いた大人しい音に変貌しています。ただ、サイドアドレス型ということもあって、オフ気味にした時の収音能力はやはり弱いですかね。
 
ソースフォロワ後のBM-800を基準とした比較表(聴感dB差は私の駄耳で感じた感度差、C-38Bはスペックの比較用)
マイク(コンデンサマイクはファントム48V) 感度(カタログ値) 聴感dB差 特長
ソニー C-38B (参考) -48±2dB(0dB=1V/Pa、1kHz) -- --
BM-800(オリジナル、ソース接地) -28±2dB(0dB=1V/Pa、1kHz) +10dB 感度は高いが荒々しい
BM-800(ソースフォロワ改造後) -42~-44dB(オリジナルからの推測含む) 0dB(基準) フラットな大人の音
シュアー SM-63L(ダイナミック、無指向性) -56.5dB re 1V/Pa (ローカットされている) -12dB スッキリした美音
ソニー ECM-670(鋭指向性)
-44±3dB(0dB=1V/Pa、1kHz)
0dB 穏やかで押し出しは弱い
MKH-416T(自作48Pアダプターの挿入損失あり) 20 mV/Pa +- 1 dB (約-33dB 1V/Pa) +9dB TV向きの良い音
 
ソースフォロワ改造後のBM-800は、用途を明確にして録音に臨んだほうがいいですね。
そもそもマイクって個性を見極めたうえで使うってことがすべてですから。
 
逆にいうとPCやプラグインパワーなどで使うのなら、やはり改造なしで使うのが一番コストパフォーマンスが高いのかもしれませんネ。
 

オシマイ
2017年4月中旬
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