MDR-CD900STのケーブル修理
MOGAMI 2929へ取り換え)
 
注:この記事はメーカー純正品以外の使用を推奨するものではありません。MDR-CD900STは業務用機器のため補償制度がないのが一般向けの製品とは異なるところです。その代わり補修用の部品は簡単に手に入ります。ご活用ください。またこの記事によっておこる損害・不具合は当方では責を負いかねますのでご注意ください。
 
MDR-CD900ST

 
 いわずと知れたスタジオモニター用の密閉型ダイナミックヘッドフォンです。私これを10年以上使っています。購入時についていた【赤帯】は、とうの昔にはがれてしまいありません。また、イヤーパッドは汗ですぐボロボロになるため何回となく変えています。そう安いものではないので最近は純正より少し厚手の中国製イヤーパッドを使っています。(トホホ)
ここのところ、DTMでミックス作業をしていると、左チャンネル側だけ頻繁に音が切れるようになりました。断線の兆候は以前から時々あったのですが、いよいよ来たか、ということで分解の上、ケーブルを取り換えることにしました。左チャンネル側なのでヘッドバンドの渡線も関係なく、比較的作業は楽なのではないかと思います。
 
このヘッドフォンに詳しい人のWEBを覗くと、私の900STはヘッドバンド部分の固定に黒ビスが使われており、いわゆる初期型に分類されるようです。(刻印はシールではなく、浮き彫りでMADE IN JAPAN)
 
現在は後期型に変わっており、時期により内部配線の状況が異なる場合があるようですネ。このHPの写真を参考にリケーブルする人は、ケーブルを接続するランドの位置を確認するようにしてください。右チャンネル側にわたっているケーブルを目安に配線すれば間違いないのではと思います。
 

 
 CBSソニースタジオで各ブースの据え置きヘッドフォンとして開発されたMDR-CD900CBS。その業務チャンネル向けの市販品がMDR-CD900STです。録音スタジオではブース用のヘッドフォンとして良く見かけます。

ブースではイコライザー付きのヘッドフォンアンプか小型の卓上ミキサーに繋がれていることが多く、立った状態でのケーブル長を確保するため通常のリスニング用ヘッドフォンよりケーブルが長めになっています。また使用時の着脱回数も多いためケーブルは酷使されます。で、断線しやすいわけですね。私も机の上から頻繁に落とします。ケーブルが痛むわけです。
 

 
”録音スタジオで使われる”=”音が良い”、ということではありません。あくまでモニター用途に適しているということです。

 正直いうと、値段なりです。音のエネルギーがセンターに集中するきらいがあり、ややセパレーションというかステレオ感に欠ける感じはあります。ただセンターにアサインされた音はガツンときます。
ボーカルなどのモノ収録の送り返しに使われたりしますのでこれでいいんでしょう。
発売時期が古いこともあるのですが、当時も今も900STよりも音の良いヘッドフォンはたくさんあります。
 
純正はTRS標準フォーンプラグです。
 

とりあえずハウジングをバラして中の様子を見てみました。
どうせダメなので、ケーブルは切っちゃいます。後で判らなくならないようにケーブルの根本は残しました。
 

 
ケーブル断線個所の確認
 
ハウジングからケーブルを抜いて断線箇所を特定します。
 
 
この辺り、左チャンネル側が変色していていい状態ではありません。たぶん、汗が回り込んでの変色でしょう。この辺ですね。
 
被覆を剥いていくと、結構奥深くまでやられてます。
 
元のケーブルは長いので長さを詰めれば何とかなるだろうと思っていたわけですが、そうもいかないようです。
かなり先までケーブル導体の変色がありました。左チャンネルが特にやられています。芯線の導体も変色しているところがありました。私の汗って、そんな塩分濃いの?
 

 
ココは諦めてケーブルを換装。

 
純正品もパーツとして手に入りますが、それでは面白くありません。オリジナルの3芯から、多くの人がチャレンジしている4芯ケーブルに変えてみようと思います。
WEBとか検索してみると、品質が高く、かつ簡単に手に入るのはコレみたいです。ホントはもう少し外形が太くしなやかなケーブルがほしかったのですが入手性の良さで決めました。
 
MIGAMI 極細シールド 2929 AWG28
 
用事で出かけるついでにアキバのオヤイデに寄って2mだけ手に入れました。
 

 
ケーブル取り換えと共通グラウンドの切り離し。
 
 
外形3mm満たない4芯(心)シールドです。今回シールドは使いません。オリジナルケーブルは4.8mmほどありますので、ずいぶん細くなるわけです。
 
 
4芯に変えるときは、皆さんユニット側のグラウンド(アース)を独立させているのでそれに倣います。

まず、オリジナルの結線はこうでした。
白=Lチャンネル  赤=Rチャンネル  黒=共通グラウンド  ごく普通です。 
 
 
 
新しいケーブルをハウジングに引き込んで収縮チューブでシールドを処理をします。
芯線の被覆は柔らかく、手で剥いたほうが導体が傷付かないようでした。
 
Rチャンネルへ渡るケーブルはそのままに、LRを配線、共通だったグラウンド部分のハンダを除去し、パターンカットします。
 
LRのグラウンドを分けるということだけです。ここでテスターで導通がないことを確認しておきます。プラグをハンダ付けしてからでは導通してしまうのでここで確認します。
ここでは黒=Lグラウンド  黄=Rグラウンド です。  効果のほどは判りません。
 
線径が細くなったので工具箱の中に転がっていた3.5mmのステレオプラグに変えてみました。私の900STの使い方からすると、たぶん元の標準タイプに戻す可能性が大です。最期にプラグ側でグラウンドを共通に結線します。一点アース的な考え方ですね。共通インピーダンスをなるべく少なく、ということでしょうか。
ヘッドフォン側は開放しているシールドをプラグ側でつなぐか悩みましたが(昔の方向性ケーブル的な考え方ですね)、今回はヤメました。
 
 
プラグ変更完了です。 AWG28という規格は3.5mmのプラグでも細いですね。
 
 

 
ケーブル修理完了
 
 
 
 

 
いつものUSBオーディオデバイスに繋いで左右の出音を確認します。
 
〇 音質    以前と変わらないです。
 
〇 チャンネルセパレーション    私にはわかりません。が、定位はわかりやすくなったかな。 と気のせい程度。
何か音が大人しくなったような気がします。センターにガツンとくる感じが薄れたからでしょうか。
 

 
若いころオーディオブームがありまして、ケーブルによる音質の差が話題になったことがありました。
 
ケーブルを取り換えると確かに音は変わります。が、これは音質の向上とはまた別物です。

 ケーブルが異なれば抵抗値、容量値、共通インピーダンスなど物理・電気的特性ももちろん変わります。音が変わって当然です。何度もいいますが、「ケーブルで音質が良くなる」と謳い、素人さんに高価なケーブルを売りさばく商売は眉唾ものです。(と私は思っています。)「音が変わります」という売り文句ならまだ許せますが、理屈からいって至極当然のことでしょう。
 
電気的にみると、”眠い”特性のケーブルのほうが音質の評価が高かったりしますので、ヒトの聴覚というのはケーブルの価格や電気特性とは関係ないようです。

 
 オジサンの域に入ってからはケーブルによる音質差は、あまり気にすることはなくなりました。仕事で使うオーディオ(マイク)ケーブルは電磁シールドは必須ですが実用本位です。定番の4E6Sあたりで音質が変だったり外部ノイズが侵入したりするならば、ほかに要因・原因があると推測すべきで、まずそちらの対処が必要です。
 
ケーブルって、キチンとつながってさえいれば、そうそう変な音にはならないものです。
 
 

 
MDR-CD900ST【赤帯】とMDR-7506【青帯】
 
  900STのリケーブルを調べるうちに、MDR-7506の折りたたみパーツが補修パーツとして手に入ることが判りました。900STと7506はほとんどの部分が互換または同一パーツですので取り換えが可能なようです。元々900STはProtechのフィールドミキサー用に手に入れたのですが、マイク、ミキサーとケーブル、900STをアルミケースに同梱すると収まりがイマイチでした。そのため折りたたみタイプの7506に変えた経緯があります。それ以降はNLEの編集用として使っていました。CD900STも折りたたみができたのなら、本来の活用方法に戻せるわけですね。

 ちなみに(使用部品は似たようなものだと思いますが)音の傾向は異なり、MDR-7506のほうが高音が強く感じることが多くあります。私はあまり好きではありませんが、フィールド録音ではこの音のほうが好まれるかもしれません。また海外スタジオでは7506のほうが多く使われているようです。イヤーパッドは900STと使いまわしができ、すでに3回交換しています。写真のイヤーパッドは純正品なのですが、以前は900STのイヤーパッドよりなぜか安価でした。今はどうなんでしょうか?
 
7506はこの部分がヒンジになっています。
 
この7506も初期タイプのようで、ヘッドバンド付け根部品にある刻印はMADE IN CHINAとなっています。少し前まではマレーシア製で、現行製品はタイ製のようです。マグネットの種類も時期によって異なるようで、厳密にいえば音質も一緒ではありません。900STもそうですが、これはロングセラー製品の宿命かもしれません。

私の7506は900STのような【黒ビス】ではありません。900STより後に購入し使用頻度はたいしたことないものの【青帯】は剥がれる寸前です。ちなみに白ビスも黒ビスも補修部品として手に入りますが【青帯】シールは単体では売っていないようです。でもハウジングそのものを購入すれば貼ってありますね。これは900STの【赤帯】も同様です。
 
 
 
いつになるかわかりませんが、CD900STも折りたたみタイプへ変更できたら、と思っています。
 

 
 
今回はここでオシマイ
 
2017年10月初旬
 
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