EOS 60Dのバッテリー代替  その2
(外部バッテリーアダプターの制作)
 
注:この記事はメーカー純正品以外の機器使用を推奨するものではありません。メーカー指定以外の電源によるトラブルはすべて自己責任になります。
この製作記事によっておこる損害・不具合は当方では責を負いかねますのでご注意ください。
 
前回の様子はコチラ(EOS 60Dのバッテリー代替)
降圧タイプの結果は良好、次は昇圧

 
 前回、降圧レギュレーターとDCカプラーで良い結果が出たので、よせばいいのに調子に乗って昇圧タイプを試みることに。
 
 
 昇圧レギュレーターを考えたのはスマホ等で用いられている5Vのバッテリーが使用できるのでは?という甘い思い込みからでした。事実、世の中にはDCカプラーとセットになったカメラ・スマホ共用の5Vバッテリーも販売されています。
 
実験をやってみると、これが案外うまくいきません。手持ちのスマホ用バッテリーは出力に制限があるようで、他の機器にも大きな電流を供給できる造りになっていないと難しいようです。
 
 それならばと、次はエネループ等のニッケル水素バッテリーの有効利用を考えました。2010年を境に、それまで乾電池で運用していた機材を充電式のニッケル水素電池に切り替えました。乾電池は残量の把握が難しいため、少し使用しては廃棄するという状況から抜け出したかったのが大きな理由です。

 ビデオ取材ではENGミキサーとワイヤレスマイクの送受信機、そしてポータブルレコーダーなどの音声機材は単三型の乾電池かニッケル水素電池を使います。そのため、乾電池をニッケル水素電池にリプレースしても用意すべき本数は変わらず、どうしてもダブつきます。この余剰気味のニッケル水素電池を一眼バッテリーに使うことができれば一石二鳥です。
 
 多少実験してみましたが、ニッケル水素4本(5V程度)から昇圧(8.4V)しても60D+サードパーティーのDCカプラーでは全く起動する気配は見せませんでした。いろいろな本数を組み合わせて試みましたが、前回のようにニッケル水素が8本ないと安定的な挙動を示しません。どうしてかと原因を探ってみると、

私は動画モードで起動するので、どうやら起動時のミラーアップ・シャッター開放に相当なパワーが必要なようです。どうやら電圧でなく起動時電流が圧倒的に足らないようですネ。原因が判明したところで昇圧レギュレーターの検討に入りました。昇圧後の電圧・電流がしっかり出れば、エネループ6本程度の容量があれば何とかなるかもしれません。
 

 
昇圧DC-DCコンバーター
 
現在、DC-DCコンバータは高価なものから、ひじょうに安価なものまで幅広い価格帯に散らばっています。
昇圧タイプで高価なものは安定度は高いものの電圧設定ができるものは少なく、7.2Vから8.4Vという一眼の電圧に合わせることを考えると、いきおい電圧調整タイプになります。こちらはピンからキリまでバリエーション豊かです。200円から2,000円程度までありますが、なるたけ安く済ませたいのが人情なので安価なコンバーターを中心に試してみました。
 
まず、aitendoで調達したMT3608を使ったDC-DCコンバーター(出力2A)。特売で214円(税込)でした。
AMAZONでは100円程度で売られています。小さいので組み込みにはいいですネ。
 
次に同じくaitendo XL6009を使ったDC-DC(HPには出力3Aとありますがどうやら間違いで入力3Aか?)
そんなに電流は取れないようですが650円(税込、レシート値)ほどしました。ココは消費税の計算がおおざっぱです。それとも価格のデータが間違っている?
 
 
 
大きさの比較はこんなものです。この2機種の配線は入りと出をつなぐだけと簡単。
 
もう一つは秋月のキット、AE-ISL97519A(最大0.75A)で650円です。チップはIntersilのISL97519A。
 
 
 
およそ30mm角の基盤です。スイッチは付けず直結でONに。体積を少なくするためにピンヘッダと精密ボリュームの足をまげてあります。説明書には出力に電解コンデンサを付けるようにと書いてあります。今回は実験なのでそのままにします。
 
 
さあ、どうでしょうか?
 

 
持ち運び用に秋月で売っている単三8本用のケースを用意しました。基本は6本として空いた2本分のスキマにDCDCを仕掛けたいです。
秋月のキットはおそらくギリギリですね。

ケーブル等の配線については自由度が高いので何とかなるでしょう。
 
 

 
期待は膨らみますがその前に動作可能かどうか、確かめてみます。
 
まず、余分なものを付けずに起動可能かどうかをみます。
 
 

起動するか?
 
エネループ6本(7.8V程度)を8.4Vに昇圧してテストします。
 
まず、秋月のキット、AE-ISL97519A
 
一番期待が大きかったキットですが、やはり外部にコンデンサーを付けないとダメなようです。
電源は入りますが、シャッターやミラーを上げるまでにはいたりませんでした。動画撮影可能な状態にはならず、この状態から復帰も無理でした。もう少しテストすれば有望なのですが、大きなコンデンサを付けてしまうとケースに組み込む余裕がなくなります。残念ですがこの時点で諦めることにしました。キットの質は高く性能には問題ないのですが、実装形態と用途が合わなかったということだけです。
 

 
次にaitendoで買ったXL6009です。
 
 
アハハ、まったく反応なし。8.4Vでカメラ本体のエンプティーマークがむなしく点滅しています。反応はありますが液晶画面が点かないのはいただけません。
やはり出力3Aは間違い? という感じです。ま、コンデンサーも入れてないのでホントのところは判りませんが、他の用途に使うほうがよさそうですね。ICの外形は一番大きいので何か使いこなしのコツがあるのかもしれません。それとも私の使い方に何か間違いが?
 

 
トリは214円のMT3608です。まずは8.4V
 
起動しますがXL6009と同じような感じでミラーを上げるまでには至りませんでした。そもそも価格からして期待していなかったので仕方ないです。でも負荷をかけたとき出力側で少し電圧が下がっているようなので調整し何度か試してみました。その結果、なんとたまに起動する時もあります。
もしかして、と開放電圧を高めに9V付近としてカメラに繋げてみました。
 
たのむよ!うまくいってくれ! と祈ったところ、
 
なんと、9Vで起動に成功!
 
祈りは大事ですね。上手くいったみたいです。
一番安いヤツですけどね~。
 

 
バッテリーステータス(9V)
 
ステータスもきちんと出ます。
 
スタンバイからの復帰もOKでした。
 

 
何とかなるかなと思ったので、これでケースに組み込むことにしました。
 

 
加工と組みこみ
 
8本用のケースを6本に配線替えします。まず、バネのついたマイナス電極を撤去、付け替えします。
そしてケースの出っ張りを削ってスペースを確保。レイアウト確認のためDCジャックを取り付けました。
こんな感じで
このケースにはもともとスイッチが付いているので、そのまま利用して配線を内側に入れ接続しました。
 

 
最終の組み込みと調整
 
 
配線後、スペースに余裕があるようなので秋月の電圧計を入れてみました。
どうせ隠れるんですけどね、なんかカッコイイじゃないですか。
 
 
完成!
 
 
では、確かめましょう。
 
 

 
最終調整
 
カメラをつなぐと少しドロップします。でも負荷がかかった状態で8.6V程度までは大丈夫でした。
 
大きく昇圧しているわけではないので発熱の問題もなくいい感じです。
 
スタンバイからの復帰はOKで撮像板部分の温度もそれほど上がっていません。動作は良好なようです。
出力側にはスイッチングノイズが出ていると思われるので、小さなコンデンサを入れてやると安心かもしれません。
 

 
組込み終了!
 
 
 
もとからあったスイッチ部
 
 
 

 
難点
 
電池ケースの電池固定方法がバネに頼った仕組みなので少し揺れると電圧が途切れることがあります。これは蓋をもう少し補強して電池が揺れ動かないようにしたほうが安全ですね。
作業的にはケーブルを隠すパーツを元通りにかぶせて完了です。
 
 

 
蓋をするとなんだかわからないですね。
 
これで、ダブつき気味のニッケル水素電池が有効利用できそうです。
 

 
まとめ
 
 最初にテストしたスマホ用USB出力のバッテリーの定格は、出力がDC5V1A、バッテリー電圧・容量が3.8V 3100mAhとあるのでバッテリー自体に備わっている昇圧DC-DCチップの出力容量が少々足らないのかもしれません。
 
最近アキバあたりで大量に売られている大容量のスマホバッテリーだと上手くいく可能性は十分あります。でも、これもコスト次第でしょう。価格が5,000円を超えるようだと新しい純正バッテリーに近くなり、互換品なら2つ手に入ります。ココは考えどころですね。
 
グループの再編を受け、エネループバッテリーはサンヨーからPanasonicブランドに移行しています。また渡辺謙さんが「撮るなら本気で」と宣伝していたEOS 60Dは、すでに2世代前の機種となってしまいました。バッテリーもカメラも時代による移り変わりは早いですね。でも、どちらも性能が著しく下がっているわけではなく、まだまだ使えます。

東日本大震災後、桜の記録から始まったEOS 60Dを、2通りのバッテリーシステムでしばらく使ってみることにします。

 
 
オシマイ
 
2017年5月
 
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