EOS 60Dのバッテリー代替
(外部バッテリーアダプターの制作)
 
注:この記事はメーカー純正品以外の機器使用を推奨するものではありません。メーカー指定以外の電源によるトラブルはすべて自己責任になります。
この製作記事によっておこる損害・不具合は当方では責を負いかねますのでご注意ください。
 
EOS 60Dのバッテリー(LP-E6)

 
 数年前にEOS 60Dを一眼ムービーの勉強用として購入し、何とか一眼ムービーの操作体系と感覚を理解してみたものの、実戦では数回使ったのみ。もっぱら他プロダクションの7Dのほうが使用回数的には多い。キヤノンのミドルクラスのカメラは、70Dを経て80Dへと2世代ほど進んでいる。今ではかなり旧式のカメラになってしまったが、60Dを入手したことで得た収穫もあった。それはリグを組まない場合、60Dのようなバリアングル液晶がないと、やはりムービー収録はキツイということ。それとライブビューしっぱなしなので予想以上にバッテリーを食う。このバッテリーが高いんだね。
 
 他メーカーに比べるとキヤノンの純正バッテリーは高価だ。スチルならフラッシュを使わなければ一日2本で足りるかもしれないが、動画をメインにする私はそれより一・二本余分に準備しなければならない。それでも丸一日の動画撮影となると全く足りず、バッテリーのやりくりに頭が痛いところ。動画の場合、バッテリーが命といっていいところもある。
 
 LP-E6(N)というバッテリーは5D、7Dや6Dでも使われ対応機種は多い。製造本数の多さはコスト安に直結するはずなのだが、様々な安全機構や互換バッテリー排除の仕組みもあって高コストになっているようだ。ユーザーにとって消耗品であるバッテリーは安価なほうがありがたい。高価な純正バッテリーは安全かつ安心だが、使えなくなる日は必ず来る。多少のリスクで安価な互換バッテリーが手に入るなら、そちらを選ぶ人がいてもおかしくない。私もその一人だ。
 
 しかし、やはり互換バッテリーの寿命はかなり短いようで、しばらく使用してなかったらすっかり放電してしまった。充電を繰り返してみても、わずか10分程度しかバッテリーが持たなくなっていた。解っていたこととはいえ、トホホである。
 

 
寿命のついでに分解
 
で、DCカプラーのように外部から電源供給できないかと思い、割ってみた。(大変危険です。自己責任でも分解しないでください。バラす途中一回火花が飛びました。ヤバイです。写真で大体の構造は解ると思いますので、それで満足していただければ幸いです。当方は責任を持ちません
早い話、浅はかですが自分でDCカプラーを作ってしまえ、と思ったわけです。
 
バッテリーがショートするのは避けたいので、早々にビニールテープとガムテープで処理。他には端子のついた基板が一枚あるだけだった。とりあえずこの端子に直流を流し込めばいいんだね。と勝手に考え、配線。手持ちのコンデンサをとりあえず使用した。
 
と順調に見えたが配線が太くて、ケースが元のようにしまらない。
いろいろやり直し、力任せに押し込もうとしたら、一番肝心な電源端子を折ってしまいました。これはイカン。で、この目論見は失敗。
この端子弱いんだね。壊れた、じゃなくて壊した。
 
通常はこんな風に失敗します。くれぐれも分解は避けましょう。
 
(キヤノンデジタルカメラの取説より)
 

 
Vマウントバッテリーと降圧レギュレーター
 
じゃ、どうすんの、ってことで、慌ててDCカプラーを探す。困ったときは密林に行けば何とかなる。
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N5OCCUE/ref=pe_492632_169829912_TE_dp_1
Cxy デコード AC電源アダプター充電器ACK-E6+DR-E6 DCバッテリーカップリング
 
純正じゃないけど(懲りない)、使えると評価があったのでポチる。
 
そのすきに、古い業務用バッテリーとアダプターを探し出し、これを使えないかと検討した。古いバッテリーだけど使用回数はわずかなので、まだ利用価値はある。IDXの小さいタイプもあって合計4本。使わない手はない。アダプターはキャノン4ピンでバッテリー電圧がそのまま出る。Vマウントバッテリーは業務用ビデオ屋さんには普通に売っている。他にアントンバウアーマウントがあるがこちらはすでに小数派。このソニーのVマウントが業界標準といっていいだろうね。
 
 
Vマウントバッテリーはバッテリー側にステータス表示があるのでバッテリー残量はある程度把握できる(常に点いているわけではありません)。写真のバッテリーは14.4V、5.4Ahの容量を持っています。業務用なので高価なんですけどね。使わなければただのゴミになってしまうので。
 
 
リチウムイオン3.6Vセルの4本直列(たぶん2並列)で公称電圧14.4Vだが充電直後は15Vの後半あたりになります。
Vマウントを持つ業務用ビデオカメラは16-11Vが実用域に設定・設計されており何ともないですが、一眼や最近の7.2Vリチウム系ビデオカメラには高すぎる電圧ですね。
 
降圧しなければということで、秋月電子。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-08572/
ここらあたりを探ってみる。少し高いが入力電圧と出力電圧・電流を考えるとこれになった。
 
最大2A 3~16V降圧型スイッチングモジュールキット(MPM80使用)
買ってきて、チャチャ、っとハンダして、ケースに穴あけてDC2.1mmとキャノン4Pレセプタクルをつけ、完成。
XLR4ピンレセプタクルは普通に買うと高価だが、今回はアキバのマルツで未使用ジャンクとして100円で売っていたものが手持ちにあったので使用。XLR4ピンは業務撮影機材のDC電源コネクターとしてはスタンダードなのでなんとなく入手していたものだが、ここで役立つとは思っていなかった。
 
電圧調整してカプラーが届くのを待ちます。思案どころは放熱をどうするかというところ。
 
カメラに底部のシールには8.1Vと書いてありますが、net情報を参考にするとDCカプラー時は少し高めでいいようです。そこで約8.4V付近に調整しておきました。これは充電器の開放電圧と同じです。
レギュレータの定格をみると2A。この春の気温だと放熱器なしでも1A位は確保できそうです。
 

 
DCカプラー到着
 
純正でないDCカプラーが用意できたので、降圧レギュレータとのケーブルを作るですね。まずコネクターを確認。
 
DCカプラーと8V、3AのACアダプターです。
 
空なのかと思うほど軽い。中身はおそらく通信用のチップだけなのでは。
DCカプラーの受けは純正とはオスメス逆のようです。形状は通常のDC2.1でACアダプターからはセンタープラス出ています。これに合わせたケーブルをゴニョゴニョやって作ります。
ACアダプターの開放出力電圧は8.33V。これは予想通り。
 

 
電源投入!
 
DCレギュレーターの出力側開放電圧は8.4Vのまま。
あっさり動画モードで起動した。ライブビューも問題なし。
 
バッテリーステータスも良好。
 
 
レギュレーター動作も良好なようで、カメラをつないだ状態でも出力電圧は8.4V付近に維持される。
 
 
12分ほど連続で録画したが、問題なさそうだ。
気になっていたレギュレーターの発熱も少し暖かい程度なので今は良しとして、今後様子を見ていくことにする。
いったん立ち上がってしまえば通常は1アンペア以下なのかもしれないね。
 
ロケ用にパワーセーブを2分にしてあるので、何もしないで時間がくるとミラーが下がってスタンバイ状態になる。スタンバイからの復帰もこの組み合わせでは問題ないようでした。
 

 
エネループ
 
さて、ここまではサクサクと作業がはかどって、大きいけれど外部バッテリーの目途が立った。
次に考えたのが、これが上手くいくのであれば充電式のエネループでも大丈夫ではないか、ということで実験。
 
まず6本。電圧は7.7V。
 
あれ、起動せず! バッテリーのエンプティマークがむなしく点滅する。
バッテリーだと問題ない電圧なのだが、このDCカプラーではダメ。
まあ、この辺は予測済み。DCカプラー時は逆接続防止用のダイオードがどこかに入っているかもしれず、その分電圧の底上げが必要かもしれない。
 
次に7本。8.96Vで電圧的には十分なはず。
またしても起動せず!予想外!
 
では8本にしたらどうか? 10.26V。 もうそろそろヤバイぞ。 おススメしません。
 
こちらは起動した。
 
でも長いことカメラをライブニューで使っていると少し熱をもつようだ。液晶パネルの裏、撮像板あたりが通常より温度が高い。電圧が高すぎるのかもしれず、あまり気持ちのいいものではない。
非常用に使える可能性があるが、スタンバイからの復帰はダメ。復帰時、電池のエンプティーマークが点滅し2度と立ち上がらない。
ただしDCカプラーを一度抜いて、再度電源投入するとまた起動する。
 
ただ、この電圧なので長時間の使用は熱破損の恐れもあり、危険かもしれない。夏場はつらいかもしれないね。
 

 
どうも腑に落ちないので単三アルカリ乾電池で試してみた。アルカリ乾電池6本(9V)は純正のバッテリーグリップで使えるはずなので、可能性はある。百均の電池で申し訳ないが、いちおう新品で開放電圧は9.86Vだった。
 
 
これも起動せず。バッテリーのエンプティーマークがむなしく点滅するばかり。
大容量のコンデンサをつけるとか多少の工夫が必要なようだ。

 
結果をまとめてみる。
電源 起動 スタンバイからの復帰
自作DCレギュレーター+Vマウントバッテリー(8.4V)
3rd Party DCカプラー+ACアダプター(8.33V)
エネループ6本(7.7V) × --
エネループ7本(8.96V) × --
アルカリ乾電池6本(9.86V) × --
エネループ8本(10.26V) ×
 
という結果になった。今回はあくまでサードパーティーのDCカプラーなので純正品のDCカプラーでは少し挙動が異なるかもしれない。
エネループ7本で立ち上がらないのは全くの予想外。またグリップでは単3乾電池6本で使えるので、この結果はやや納得いかない。もちろんバッテリーグリップ側で何か仕掛けがある可能性はある。ここらあたりは何が原因なのか、もう少し検証・検討する必要があるでしょう。コンデンサーとか途中に入れてあげたほうがいいかもですね。
ともあれ、大容量のVマウントバッテリーが使えるようになったというのは、ロケではたいへん助かる。
少し荷物が増え、ケーブルという煩わしい要素が増えるが、これで丸一日バッテリーの心配をしなくて済むのはありがたいこと。
 
ちなみに8.4V以下の低電圧でテストした結果がこちら。7.2V以上は起動とスタンバイからの復帰はすべてOKでした。
なお本体と通信がある関係か、一度DCカプラーを抜かないと前の結果がリセットされていない時がありました。
自作DCレギュレーター+Vマウントバッテリー 残量ステータス バッテリーマーク
6.5V -- 起動せず
7V 不安定 立ち上がる時もある
7.2V 8% 点滅(ディスプレイは赤い表示)
7.5V 25% 2つ
7.8V 56% 3つ
8.1V 85% 4つ(フル)
8.4V 99% 4つ(フル)
熱の問題を考慮すると電圧は低いほうがいいのですが、バッテリーマークが欠けていると精神衛生上よくありません。
よってEOS 60Dの底部に表示されている定格8.1Vに電圧を調整しました。
 
私としては珍しく実用になりそうだ。
供給元のバッテリー容量が大きいのと降圧タイプなので結果は良いようですね。
写真はないですが、後日、蝶番【Hinge】を利用して、小さな放熱板をスキマに取り付けました。今の時期でも常時ライブビューしながら撮影をしているとやはり熱を持ちますので、夏はケースを変えて空冷などの仕組みを考えたほうがいいかもしれないですネ。
 
今後は、昇圧アダプターとスマホ用の5V充電池を使ったバッテリーシステムを考えてみたいです。

 
 
今回はここでオシマイ
後日、昇圧タイプをテストしてみました
2017年4月
 
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